歯医者の予約が取りづらくなった理由|実は「空いているのに埋まっている」時間があります
「以前はすぐ予約が取れたのに、最近は先まで埋まっている」 「希望の時間がなかなか空いていない」 「そんなに混んでいるように見えないのに、どうして?」
——通い慣れた歯科医院で、こんなふうに感じたことはありませんか。
「人気が出たから」と思われるかもしれませんが、実はそれだけではありません。歯科医院の予約枠が埋まる仕組みには、あまり知られていない事情がいくつもあります。
そして、その中には私たち一人ひとりが少しだけ関わっているものも含まれています。
この記事では、二宮町のはら歯科クリニックが、予約が取りづらくなる理由を包み隠さずお話しします。誰かを責める意図はまったくありません。仕組みを知っていただくことで、次の予約が少し取りやすくなるかもしれない——そんな気持ちで書いています。
まず正直にお伝えする、医院側の事情
患者さんに原因を求める前に、医院側の事情からお話しするのが筋だと思います。
歯科衛生士を採用できない
これが最も大きな要因です。
歯石を取る、フッ素を塗るといった処置は、歯科衛生士という国家資格を持つ人にしか行えません。法律で定められているため、無資格のスタッフが代わることはできないのです。
そして今、多くの歯科医院が「求人を出しても応募がない」という状況に直面しています。
ただ、ここには誤解されやすい点があります。歯科衛生士の資格を持っている人自体は、決して少なくありません。免許を持ちながら、歯科医院で働いていない方が非常に多いのです。
理由はいくつかあります。
ひとつは、給与の問題です。国家資格が必要な専門職でありながら、給与水準が他業種より高いとは言えません。資格を活かさず別の仕事を選んだほうが、収入が上がるケースもあります。
もうひとつは、働き方の制約です。歯科衛生士の仕事は患者さんのお口の中を直接扱うものですから、在宅勤務という選択肢がありません。診療時間に合わせた勤務が必須で、時間の融通も利きにくい。リモートワークや柔軟な働き方が広がった今、この制約は大きなハンディキャップになっています。
さらに、結婚や出産で一度現場を離れると、復帰のハードルが高いという事情もあります。
つまり「歯科衛生士が足りない」というより、「資格はあっても、その仕事を選ばない人が増えている」というのが実態に近いのです。
衛生士が1人減れば、その分の予約枠がまるごとなくなります。診療時間は変わらないのに、対応できる人数だけが減る。これが、予約が取りづらくなる直接的な理由のひとつです。
診療イスの数には限りがある
歯科医院には、診療用のイス(ユニット)が数台しかありません。1台につき同時に1人しか診られないため、物理的な上限が決まっています。
飲食店なら、混雑時に席を詰めたり回転を早めたりできます。歯科医院ではそれができません。イスの数と診療時間を掛け算した分が、その日の限界です。
予防で通う方が増えている
これは喜ばしい変化なのですが、予約の観点では枠を圧迫します。
以前は「痛くなったら行く」場所だった歯科医院に、今は定期検診で通う方が増えました。3〜6ヶ月ごとに継続して来られるため、その分の枠が常に確保されている状態になります。
痛みで駆け込む方が減り、予防で通う方が増える。医療としては理想的な形ですが、予約表は先まで埋まりやすくなります。
治療には必要な時間がある
「もっと短時間で回せばいいのでは」と思われるかもしれません。
しかし、歯科治療には省略できない工程があります。麻酔が効くまでの時間、材料が固まるまでの時間、丁寧に説明する時間。これらを削れば治療の質が落ちます。
1人あたりの時間を短くして枠を増やすことは可能ですが、それは患者さんにとって良いことではありません。
ここからが本題:「空いているのに埋まっている」枠
さて、ここからが多くの方に知っていただきたい話です。
歯科医院の予約表には、実際には空いているのに、埋まったままになっている枠が存在します。
無断キャンセル(連絡なしの欠席)
予約時間になっても来院されず、連絡もない。これが、予約枠を最も無駄にしています。
その時間、スタッフは準備を整えて待っています。使う器具を用意し、カルテを確認し、場合によっては技工物を取り寄せています。しかし患者さんは来ません。
そして重要なのは、その枠は他の誰かが使えたはずだったということです。
「今日空いていませんか」と電話をくださった方をお断りした直後に、無断キャンセルで枠が空く。こうしたことが、実際に起きています。
直前のキャンセル
前日や当日のキャンセルも、同じ問題を抱えています。
急な発熱、仕事のトラブル、家族の事情。やむを得ない事情があることは十分に理解しています。ご連絡をいただくこと自体は、まったく問題ありません。
ただ、直前だとその枠を他の方に案内する時間がないのです。数日前であれば、キャンセル待ちの方にご連絡できます。当日の朝では、それが難しくなります。
遅刻
15分遅れて来院された場合、その日に予定していた処置が全部できないことがあります。
すると、本来1回で終わるはずだった治療が2回に分かれます。通院回数が1回増えるわけです。増えた1回分は、新たな予約枠を消費します。
さらに、遅れた分だけ後ろの患者さんの開始時間もずれていきます。1人の遅刻が、その日の午後全体に影響することも珍しくありません。
度重なる予約の変更
意外と見落とされているのが、同じ予約を何度も変更されるケースです。
一度予約を入れ、変更する。その日も都合が悪くなり、また変更する。それが3回、4回と続く——。
やむを得ない事情での変更は、まったく問題ありません。ただ、変更が繰り返されると、そのたびに枠が押さえられ、そして手放されることになります。押さえられている間、その時間は他の方に案内できません。
そして、それ以上に困るのはご自身の治療が進まないことです。
仮の詰め物が入ったまま数ヶ月が経過する。根の治療が途中で止まったままになる。こうした状態が長引けば、せっかくの治療がやり直しになったり、歯を残せなくなったりすることもあります。
予約は「押さえておく」ものではなく、「その日に治療を進めるため」のものです。日程が決めにくいときは、無理に先の予約を入れず、都合が固まってからご連絡いただくほうが結果的にスムーズなこともあります。
数字にしてみると、影響がわかります
仮に、1日に3件のキャンセルや無断欠席があったとします。
1週間(診療5日)で15件。1ヶ月では約60件です。
つまり、月に60人分の予約枠が失われている計算になります。もしこの枠が使えていれば、「予約が取れない」と困っている方の多くが、希望の日時に来院できたはずです。
医院が意図的に枠を絞っているわけではありません。実際には空いていた時間が、結果として誰にも使われなかった。それが積み重なって、予約表が窮屈になっているのです。
誤解のないようにお伝えしたいこと
ここまで読んで、「責められているようだ」と感じた方がいらっしゃったら、それは私たちの本意ではありません。
体調不良は誰にでもあります。仕事の急な予定変更も、お子さんの発熱も、避けられないものです。そうした事情でのキャンセルを、私たちが咎めることは決してありません。
お伝えしたいのは、たったひとつです。
「行けなくなったら、できるだけ早く連絡をいただけると助かります」
それだけで、その枠は別の方に届きます。理由を詳しく説明していただく必要もありません。「行けなくなりました」の一言で十分です。
そして、「キャンセルすると気まずい」「怒られそう」と感じて連絡をためらう方がいらっしゃいますが、その心配は不要です。連絡をいただけることのほうが、私たちにとってはるかにありがたいのです。
予約を取りやすくする、5つのコツ
最後に、実際に予約を取りやすくするための方法をご紹介します。
① 次回の予約は、その場で取る
最も効果的な方法です。
診療が終わったその場で次回を予約すれば、選択肢が最も多い状態から選べます。「後で電話します」だと、その間に枠が埋まってしまいます。
特に定期検診は、3ヶ月後、6ヶ月後の予約をあらかじめ入れておくのが確実です。
② 希望日は幅を持って伝える
「土曜の午前しか無理です」と限定すると、選択肢は極端に狭まります。土曜日は多くの方が希望されるため、最も競争率が高い枠です。
「この週のどこか」「平日でも可」と幅を持たせると、格段に取りやすくなります。
③ 混み合う時間帯を知っておく
意外に思われるかもしれませんが、当院で最も予約が集中しているのは、平日の午前9時から11時ごろです。
朝いちばんの時間帯は「早く終われば1日を有効に使える」と考える方が多く、希望が重なります。この時間を第一希望にすると、どうしても待つことになります。
逆に、この時間帯を外していただくと、予約はぐっと取りやすくなります。お仕事や家事の都合がつく方は、ぜひご検討ください。
なお、平日の最終受付は、初めての方が16時、通院中の方が16時30分までとなっています。
④ キャンセル待ちを伝えておく
「もし空きが出たら連絡がほしい」と伝えておくと、直前キャンセルが出たときに声をかけてもらえます。
意外と空きは出ます。ただ、ご希望を伺っていない相手には、連絡のしようがないのです。
⑤ 予定変更がわかった時点で連絡する
「まだ行けるかもしれない」と様子を見ているうちに当日になってしまう、というのはよくあるパターンです。
難しそうだと思った時点でご連絡いただければ、日程の変更もその場でできます。結果的に、ご自身の通院もスムーズになります。
はら歯科クリニックの取り組み
当院は、二宮町で予防歯科・歯周病治療・入れ歯(義歯)に力を入れている歯科医院です。
限られた予約枠を、必要としている方に届けたいと考えています。そのため、次回のご予約はできるだけ診療後にお取りいただくようご案内しています。
なお、当院ではご予約日の直前に確認のご連絡を差し上げることはしておりません。お取りいただいた日時は、カレンダーやスマートフォンに控えておいていただけると安心です。
予約の変更やキャンセルは、お電話で承っています。ご連絡いただくことで気まずい思いをされることは一切ありませんので、遠慮なくお知らせください。
二宮駅北口から徒歩2分、駐車場も2台ご用意しています(満車の際は近隣の北口パーキングをご利用ください。受付で駐車チケットをお渡しします)。土曜日も診療しています。
まとめ
予約が取りづらくなる理由を整理します。
医院側の事情としては、歯科衛生士の採用難(資格を持つ人は多いものの、給与や働き方の制約から現場を選ばない方が増えている)、診療イスの数という物理的な上限、予防で通う方の増加、そして治療に必要な時間を削れないことがあります。
これに加えて、無断キャンセル・直前キャンセル・遅刻によって、実際には空いているのに使われない枠が生まれています。月に数十件分の枠が、こうして失われています。また、同じ予約を何度も変更すると枠が押さえられ続けるうえ、ご自身の治療も止まったままになってしまいます。
体調や急用でキャンセルすること自体は、まったく問題ありません。ただ、早めに一報いただけると、その枠が別の方に届きます。
そして予約を取りやすくするには、次回分をその場で取ること、希望日に幅を持たせること、混み合う平日9時〜11時を避けること、キャンセル待ちを伝えておくことが有効です。
予約枠は、地域で分け合っている限られた資源のようなものです。少しの気遣いが、めぐりめぐってご自身の予約の取りやすさにもつながります。
二宮町のはら歯科クリニックでは、皆さまが必要なときに通える医院であるよう努めてまいります。ご予約やご相談は、お気軽にどうぞ。
